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2012年7月23日 (月)

浅田 次郎 「憑神」

ああ、やっと…やっと読み終えました…!

もう、ほんとに途中で何度挫折しそうになったことか。
ある時など、しばら~くの間そこらへんにほっぽらかして、見えてるのに見えてないフリしていたくらいだ。
だってさ~、漢字が難しくて読めないんだもの。(←あーあ)
時代がかった言葉も難読だし、意味はヤマ勘だしで。
しかも、これ一番重要なんですけど、主人公が義とか不義とか言うのが理解不能だし、武士の本懐とかもうアンタ好きにしてっていう感じで、まったく共感できない。
もう、自分の頭の悪さを棚に上げまくってナンですけどね、

めんどうくさいんじゃー!

彦四郎さんはさー、そりゃもー頭も良くて文武の芸に秀でてて、忠義を重んじ、仁を尊ぶ、それはそれは立派という字も霞むほどに立派な御仁であらせられるよ。

でも、愛する妻子とは絶縁状態で、ぜんぜん幸せじゃない。
結果的には邪神を人に振っておきながら、いつまでもウジウジと…まぁ思い悩むのはわかるよ。でも、自分を責めまくるばかりで、「武士として」とか言うのがちょっと鼻につくのよね。
「悪意」の後だから余計そう感じるのかしら…。

左兵衛さんは、やる気ナシ男で情けないと思われているけど、相撲という娯楽も持ってて、楽しんでいるでしょう。自分の人生を「サボる」という方法で能動的に生きてるじゃない。別に蔵さんが演じたからって言うんじゃありませんよ。なんだか憎めない人なのよ。
家伝の宝刀を腐らせたことが露呈したときは特にナイスだった。死んだふりの挙句に開き直った!うける~。
人間がふたりいてサ、その優劣を比べたらそりゃ、どっちかが優でもう一方は劣でしょうよ、絶対に。左兵衛が身につけた生きる術ってところもあるんじゃないかしらねぇ。

そんなヘソ曲がり気質で別所彦四郎に肩入れできず、長らく放置してしまったのでござる。

ところが、それが途中から何故か急におもしろくなり。

彦さんが振った疫病神のおかげで勤めを果たせなくなった兄の代わりに、御影鎧番の御役に就く、その引継ぎのくだりから、である。
組頭の伊左衛門、兄の左兵衛、疫病神の九頭竜などと交わす会話がおもしろく、だんだんに興が乗ってきた。
特に、格段の大出世を果たし、海外から戻ったばかりの榎本釜次郎とのやりとりは、彦四郎という人に少し近づけた気がして、嬉しく思った。
彦さんはさ、釜次郎のことを馬鹿にしてるでしょ。能無しが出世しおって、と思いつつも、良いところをみつけて認めるところに人として好感を持ち、ちょっとだけ親しみがわいた。

そして、そんなこんなで、彦四郎が影武者の鎧を着けて、上野のお山に繰り出す最終章は熱い目頭を押さえつつ読んだ。
なんか、言ってることもやることも、今でも全くもって理解不能なんだけど、「もう、あんたがそうしたいならそうしなよ」と、わけもわからず独り清冽な気分であった。
武士の本懐とかもうアンタ好きにしてっていうのは変わらないが、読み手としてのわたしの気持ちはまったく違うものになったのだ。
困ったことに、それを言葉にして説明はできないのだけど。

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コメント

これも面白かったですねえ。
浅田次郎の著書は1冊も読んだ事ないんですが。
左兵衛のダメっぷりに「それするか?」と突っ込みまくりでしたが、兄さんのヨタヨタ振りが可笑しくて可笑しくて。
ノリノリで弱ってた!

真摯な「止むに止まれぬ思い」というものは、理解は出来ないけど受け入れられたり、共感できなくても信じられたりしますもんね。
しゃあないな…もう、と半笑いで。

投稿: カリコ | 2012年7月25日 (水) 00時10分

わたしも初・浅田次郎、でした。
でも、文章がものすごく、なんというか、ビシッ!と音が聞こえるくらいきまってました。雷鳴のような文章。

兄さんのヨタヨタぶり、可笑しかったですよね!
久しぶりに観てみようかな~。
なんか、映画だけではよく解ってなかったです、わたし。そのことに気づいただけでも読んだ意味ありました。

そうそう、小文吾も相当におもしろかったですよ、原作では。
蕎麦屋が香川さんで、奥さんが鈴木砂羽さんというのも良かったな~、なんて。

投稿: Leek | 2012年7月25日 (水) 16時44分

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