« Fall Out Boy 「ライヴ・イン・トーキョー」 | トップページ | 観劇おまけ »

2013年7月24日 (水)

「非常の人 何ぞ非常に」

観てきました。
…あれを日によっては2回公演するというのは、まったく想像もつかないことです。
ものすごく消耗すると思います。
蔵之介さん、お声枯れ気味でした。

以下はわたしの感想ですが、ネタばれに関する配慮をまったくしていません。
予定があるのにまだ見ていないという方は読まないほうがよろしいかと存じますban
それは、新鮮な驚きは何にも代えがたいと思うからです。

読まれる方は、お手数ですが反転でどうぞ。

 すごくおもしろかった!
岡本さんが想像以上にコミカルで、いっぱい笑わせてもらった。
もう頭からフルへーヘンドが離れない(笑)

源内の油彩画を評する場面では、本当にいたたまれない思いだった。
源内がかわいそすぎるだろ!
「絵は本職じゃないから。趣味だから!」
「趣味にしたって…中途半端?」
「「そう中途半端!」」

もうやめたげて~~~!

エレキテルの凄さが当時は理解されなかったんだね。
わりと最初の方で、源内が茶屋で「お前らわかっちゃいない、世間てぇのはそういうもんだ」というようなことを言うのだけど、ずいぶん驕った物言いだと思いつつも、なるほどそうかもね、と思った。
世の中は物事がわかってるごく一部の人たちが回してるような、そんな感じあるよなー、と。
天才って希少だから天才なんでしょ。凡人はいっぱいいるから凡人なの。
しかし、かの天才も、彼が見下す一般大衆に、その数という力で負けたのが皮肉だ。
みんなはいいとこ一升瓶、俺は四斗樽。
そう言ってはばからない彼には人を見下している自覚が無い。


そして問題の(?)キスシーンね。
うん、あれはじつにいいキスシーンだった。
いいキスシーンだった。(2回言う)
すべてはあれから始まったんだ。


「種類の違う人間」とでは埋められない孤独があったのでしょう。本人がそう言ってた。でも種類が違うから友だちでいられるってこともあるんでは?
はたから見たら不思議でも、当人同士は一緒にいて居心地がいい、そういう組み合わせってあるよなー、と。
でも、そういう人が掃いて捨てるほどいるわけじゃない。だいたいは滅多にいるもんじゃなく、だから大切。
観る前は、ふたりの友情を壊すのは妬みや嫉妬だと思ってた。
でも、そうじゃなかった。
というか最後まで壊れてなかった、友情。


源内のあれは、言ってみりゃ究極の自己愛だったのかもしれないよ。
しかし佐吉への愛情は確かにあったでしょう、もう疑いようもなく。
大事だ大切だと思う気持ちを、ああいう形でしか示せなかったのか、他に終着点は無かったのかよと思うと、泣けてしょうがなかった。

そして源内は思いの外、純で感じやすい人だったのじゃないかしら。
「解体新書」出版のために、菊千代(佐吉)にとった言動が、ひどく彼を傷つけたであろうことが後々まで心に引っ掛かっていたのじゃないか、などと思うのはセンチメンタルに過ぎるであろうか。
彼がとった非常な行いは、彼にとっての贖罪でもあり、ヒロイズムでもあり。
佐吉を解放することで矜持が保てたのかも。他人と自分を同時に愛せる唯一の方法だったかも、と。いろいろ思った。

源内さん、最後までしょってるなァ。

鳥のように旅立った佐吉は源内の気持ちに応えられたでしょ。
たとえ本人は鳥ほども何かを考えていなくとも。
擦れていてもその若さはやっぱり眩しい。

もう正直に言うけど、小柳友さんには釘付けだった。
どうしようもなくどうしようもない男の、あの、はすっぱであだっぽい魅力がなんとも言えず、惹きつけられてしまいました。
玄白が手切れ金に五十両出すと言った時、借金返済に足りる額だったにもかかわらず、迷わずもっとふっかけようとする正真正銘の性悪。
源内の帰宅で「この話はまた今度」となったとき、去り際の表情が忘れられない。
そんで、酒と肴を買いに使いに出た後、源内と玄白の話を立ち聞いていたことが、膳を持って現れた瞬間にその表情から明白に伝わって、もう、すごい役者さんだなーと思った。
刃傷沙汰になった際、わたしのすぐ目の前で、なんて綺麗なのかと見とれてしまいました。
「おれ、またアンタに嘘をついちまったよぅ」と言う佐吉がたまりませんでした。


そして奥田さんがとても凄すぎて凄いなぁと思った。奥田さんの似顔絵2分30秒くらいで描けてしまったのだけど、もうほんとにすみません。
蘭画のお弟子さんが、おでこをぽくぽく叩きながら「雪隠で考え事を~」なんて言う姿がとても可愛らしくて微笑ましくて。
篠井さんといい、あの演じ分けは本当に絶句。分裂症を疑うよ(笑)

本作は、題材そのものが持つせつなさにグッとくるものがあるけれど、蔵之介さんが演じることで増幅したように思う。
最後、玄白が朗々と読み上げるシーンで(何をって?失念w)、源内は舞台の前方でずっと倒れ伏したままだったのが(絶命してるからね)、不意にガバッと起き上がって「じゃあ呑もう!」と言うのだけど、そのとき今まで倒れていた床が濡れていて、アッと思った。蔵之介さんの頬も濡れて光っていて、ツーと流れ落ちるその涙に心底打たれた。その後、掌で頬をサッと撫でて拭った。
頭上でエレキテルだった。
演技で泣くのは何度も見たことあるし、「抜け穴の会議室 2」でも盛大に舞台で泣く様子を拝見したと記憶しているが、この涙はぜんぜん別物のように感じて…たいがい勘違いかもしれないけど、源内ではなく蔵之介さんの涙のように思えて、ああ見てしまったこれは不可侵領域だ畏れ多いことだと固まってしまった。

たとえあれが演出だったとしても、このスパークは本物だった。
この思い出を抱いて生きてゆけるわたし。

岡本さんの演じる玄白が持つ、さっぱりとした軽やかさに救われた。

泣き顔を直してパルコを出たら、外はどうやら激しい雷雨の後だったようだ。
 

|

« Fall Out Boy 「ライヴ・イン・トーキョー」 | トップページ | 観劇おまけ »

佐々木蔵之介」カテゴリの記事

舞台」カテゴリの記事

コメント

(;;;´Д`)反転したいしたいしたいしたい∞

>…あれを日によっては2回公演するというのは、まったく想像もつかないことです。

やっぱり、そうなんや。
公開されたお稽古PV見て「これは…!」( ̄○ ̄;)!やったです。
私ずっと2回公演なんて10代のジャニーズさん達しかしないもんやと思ってた。
歌舞伎もある意味2回公演してはるけど、出ずっぱりちゃうもんね?

その最中(さなか)、お声枯れ「気味」に押さえるのは至難の技です。尊敬。

…ゆうか、今隆太さんが特番のメインMCでびっくりした!!
しかもBGMがワンオク!!(≧∇≦)

投稿: カリコ | 2013年7月27日 (土) 22時08分

や、まったくたいしたこと書いてないです。
反転マジックだな(笑)

さすがに2回はハードだと思いますねー。
精神的にも。
お仕事とはいえ、役者さんてすごいですね。

隆太さん司会とかするんだー。
というか、カリコさんがワンオクを聴いて判ることに驚き感激しましたです!

投稿: Leek | 2013年7月28日 (日) 03時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Fall Out Boy 「ライヴ・イン・トーキョー」 | トップページ | 観劇おまけ »