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2015年8月 3日 (月)

National Theater of Scotland版 「MACBETH」

東京の楽日に観に行ってきました。

恥ずかしながらシェークスピアいっこも読んだことなくて、観劇を機に半ば義務感で読んだのですが、これまたアホなことに今回脚本に採用された松岡版ではない福田版の翻訳本を読んでしまいました。
しかも、超薄い本なのにノロノロ読み進まず、当日の行きの電車の中でやっと読了するという体たらくで、まあ、そのあたりこの物語への食いつきぶりを察していただきたく…。

そうして臨んだ舞台ですが、不思議なことに「マクベス」の物語そのままなのに、まったく別もののように引き込まれ、でもやっぱりマクベス。そして時間の感覚がわからなくなってしまうほどの緊張感。食い入るように蔵さんを見つめ続けてしまいました。

精神病院という設定に、ああ、きっとこの人は精神分裂症か多重人格か、とにかくそういう患者なんだろう、なるほど一人芝居にうってつけだこりゃ巧いこと考えたね、などという目で見ていたのも束の間、私はマクベスが自分自身のように思えて居たたまれない思いだった。
マクベスが取り乱したり怯えたり、恫喝したりするさまを見ているのがつらくてつらくて、子どものように背を丸めてベッドの上で泣く姿が悲しくてしかたなかった。それでまあ、じつはちょっと泣いた。

「やったことは取り返しがつかぬ。先に進むしかない」

ぐう正論が胸に刺さる。
自分の振る舞いを鏡のように見せられて、ハッとして恥ずかしいような、個人的にはそんな感じでいっぱい。

もしやこれは共感なのか?いや断じて!感情移入してるとか?そんなまさか!
こちらも自問自答で一人芝居してしまうようだよアンディ!

そして思った。

睡眠だいじ。

健康はいい眠りから。ほんとそれ。
でも、現実世界のあれやこれやが心に懸かって安らかでいられない悩ましさ。

いい加減もうこの煩悶ループから解放してあげたいし、あんたがそんなだとこっちももたないから、もう寝ろよ寝てくれ。(強制注射)

監視カメラやモニタを使った演出も「おお!」と思ったし、病室のセット(あのタイル!洗面台!)もシンプルだけど雰囲気あった。
そしてそういう巧みさと相まって演技がほんとうに素晴らしく、蔵さんすごい!だった。
膨大なセリフも淀みなく、もう動作と一体化してリズムが出来上がっている感じで、記憶をたどって喋っているのではない説得力があって、圧倒された。
板の上の蔵さんは最高にかっこいいけれど、この日ほどかっこいいと思った日はない。

鍛え上げた肉体美を惜しげもなくさらし、我が物顔の蔵さんはマジすげーグレイトだった。
めっちゃ腹筋割れてた。
精神病院の患者なのにめっちゃ若々しくて生気に満ち活気あふれるその姿、心は病みまくりの錯乱しまくりなのに違和感なくて、もう大歓迎。ばんざい!(←?)

念願だった楽日の観劇を初めてしたけど、このこなれた感じとお客さんの感極まった様子は楽日ならではのものなのか、どうなのか。気になるところ。
いつまでも鳴りやまない拍手と、総立ちの賞賛に胸がいっぱいになった。
応える蔵さんの笑顔の、こんもり盛り上がった頬が忘れられない。

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コメント

一夜明けて月曜日。
仕事。日常。なのに
ちょっと油断すると脳内をいろんなくらのすけが
跳ね回っている。
あんなシーンもあんな表情も
隙あらば湧いてくる。
やられたー。
一体いつまでこんな状態が続く?
おくすりくださいー。

Leekさんみたいに反転できないっぽいので
まだまだこれから見る予定の人々のために
何も言えませんが

これ見ると見ないとではちょっと違うよね。
テレビや映画でくらさんを見て興味を持った人
コレ見たらちょっと変わるよね。

あれからマクベスではなく
マクベスを憑かれたように語り倒していた
患者のことを考えています。

冒頭で外したアレのこととか
大事に持っていたアレのこととか
そこから推し量って想像し
一体あの患者は・・・と
そんなことばかり考えてしまいます。

ショーシャンクでは
ネーキッドなくらさんを直視できず
膝小僧しか記憶に残さなかったLeekさん、
いつの間にか、おとなになったねぇ。

投稿: 凡子 | 2015年8月 3日 (月) 22時37分

コメントでは内容に触れてもええのではないかな?

わたしはねーさんみたいにあの患者について深く考えて観てなかったので、今になっていろいろ疑問がわいてます。

なんか、冒頭で医師と看護師が接する態度がとても恭しかったように感じて、身分(社会的地位)の高い人だったのかなとか思ってます。
現代におけるマクベス卿みたいな人?
わかんないけど。

そんな細かい設定まで決まってて、ちゃんとスジが通ってるんですかね?そしたらすごいですね!

投稿: Leek | 2015年8月 6日 (木) 08時59分

ほんまでっかー。

おれ、今更いろいろ思い出して
ひとつひとつ納得してます。
映画でも舞台でも
観てから読め、が
座右の銘だが
今回だけは読んでから観ればよかった。

パンフ読むと看護師、医師の方たちも
かなり自分たちの境遇や人物像を
細かいところまで設定して
やってるっぽいですもんね。
さすがだ。

看護師役の方の話では

大変な役なのに稽古でも
現場がピリピリしたりすることがなく、
クラさんにプレッシャーはと聞いたら
あるけど見せてもしょうがないと言ってた
っつーの読んで
ちょっと感動、おれ。

投稿: 凡子 | 2015年8月 6日 (木) 23時26分

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